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ダンテの『神曲』が超おもしろいから騙されたと思って読んで欲しい

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こんにちは。

最近、教養系新書への読書欲に目覚めつつあるレベッカ(@revy_ca f:id:revyca:20180520165253p:plain)です。

 

じつはですね、とうとうイタリア古典文学の最高峰と名高いダンテ著の『神曲』を読んだんですよ。

 

結論から言うと、めっちゃおもしろい。

んもー、なんで早く読まなかったのかって悶々と後悔するレベルにおもしろい。

 

おそらく多くの方が、大昔に書かれたこの作品が今でもこんなにおもしろく読めるなんてと知らないと思うので、サラッとご紹介したいと思います。

 

 

『神曲』……じつはめっちゃ読みやすい!

なにせヨーロッパでも名だたる古典文学だし、お固くて読み辛いのかな~と思うじゃないですか。

 

わたしもそう思っていたクチで、

かなり気合いをいれて読み始めたのですが……

 

どっこい、とっても読みやすいのです。

 

 

『神曲』は“地獄”→“煉獄”→“天国”を旅する主人公ダンテの冒険譚なのです!

 

そもそも『神曲』は、作者ダンテによる主人公ダンテの叙事詩。

 

叙事詩と聞いてドキッとした方、ご安心ください。

かんたんに言うと、叙事詩=ポエムっぽいゆるめの小説ってことです。

 

 

当時ダンテは、自分の考えていたキリスト教に対する考えを、多くの人々に知って欲しいと思っていました。

 

なので、わざわざこの作品を当時の人々が読みやすい口語体のイタリア語で書いているんです。

 

 

その考えを訳者の平川祐弘さんもとても大切にしていて、わたしたち日本人にもわかりやすく『神曲』が読めるよう、様々な工夫が凝らされています。

 

 

例えば、

・各章に入る前に、その章のあらすじが必ず載っている

・宗教的な用語への注釈がたっぷり

・日本でも有名な文学作家の神曲愛好豆知識

などなど……

読みやすい上に、おもしろい小ネタが1冊にたっぷりつまっているのです。

 

 

主人公は「自分」という夢小説スタイル

先ほども書きましたが、この神曲の主人公はなんと著者のダンテ自身です。

 

物語の主人公が「自分」で、読みやすい文体で、ちょっとポエミー……あれ、なんかすごい既視感……

 

ええ、そうです……思い返すとちょっと恥ずかしい黒歴史的なこの小説の作り方。

 

WEBにテキストサイト・ガラケー黎明期に全盛を誇った夢小説そっくりなのです。

 

 

中学生時代ガラケーで夢小説サイト漁ってたわたしにはドンピシャ。おなじみの物語構成に親しみが止まりません。心の吐血も止まりません。_(´ཀ`」 ∠)_

 

 

主人公は突如、異世界に飛ばされる青年ダンテ

しかもこの『神曲』、話の展開も登場人物もやばいです。

 

ラノベ風にあらすじを書いてみたので、まずはこちらをご覧ください↓↓

 

現代で悶々鬱々としていたダンテ、ある日突然「地獄」に飛ばされてしまって……!?

――わけがわからないまま、目の前に現れた憧れの人ウェルギリウスに導かれて地獄をめぐるハメに。そこで彼は、世界に名を残した偉人たちに出会う。

罪を償う者、世を偲んで悲しむ者、己の思考に磨きをかける者……死者の世界をめぐり世界の深淵を目にする青年ダンテの冒険譚、スタート!

 

どうですかこれ。一切、盛ってないですからこのあらすじ。いやほんとに。

めっちゃ最近流行りの異世界転生ラノベじゃないです……?

 

わたしの大好きな『Re:ゼロから始める異世界生活』やら『ソードアート・オンライン』やらの片鱗を感じずにはいられないのです。

 

 

しかもカエサルだったりアレキサンダー大王だったり、世界の偉人たちがこれでもかと登場します。

 

あれ、なんなの?Fateなの……?

ダンテさん、現代に生きてたら確実にオタクだよお……。 

 

 

読みやすさだけじゃない!『神曲』の魅力

さて、つい思い出に浸って読みやすさばかりに言及してしまいましたが、やはりイタリアを代表する古典文学である本作。

映画なんかを見てると『神曲』からの“引用”が非常に多いんですよね。

 

セブン (字幕版)

セブン (字幕版)

 

古典文学を引用しまくる名作映画といえば忘れてはならないのがブラッド・ピット&モーガン・フリーマン主演の『セブン』。結末のネタバレをどこかで踏む前にみんな今すぐ見て!

 

そもそも欧米は教養を重視する教育傾向で、かの有名なハーバード大学なんかも、学部ごとの専門課程以上に、教養課程を充実させています。

 

なので映画を見ていると、ある程度教養があるキャラクターは、あらゆる文学や歴史からその知識を引用し、日常会話に励んでいるわけです。

 

会話、環境、演出、テーマ……すべてが高い教養の上に構築された『君の名前で僕を呼んで』は、教養の深さが、生活の豊かさや物事への寛容さにつながることを教えてくれます。

 

キリスト教文化を『神曲』から知る

さらに、『神曲』はキリスト教(とりわけカトリック)という世界的な宗教を主軸にした教養本。

 

欧米は文化・生活にキリスト教の考えが深く根付いています。

 

そこから生まれるエンタメ作品も然りで、ぼんやりと楽しんでいた映画なんかも、このキリスト教という文化の本質がわかると、かなり深いところまで楽しむことが可能です。

 

平川祐弘さんの解説では、キリスト教の基本的な知識にとどまらず、「カトリック」と「プロテスタント」の違い、キリスト教が影響を与えた芸術文化についてまで話が及んでいます。

 

正直、この『神曲』シリーズを読むだけで、そのへんの教養本より楽しく詳しくキリスト教について学べちゃうという……。

 

日頃この洋画や海外ドラマをもっと深く考察できたらな~と思う方に、ぜひともオススメしたい作品です。

 

一番おもしろい!まずはこれから読もう『神曲 地獄篇』

神曲は全3部構成なので、気になった方は1作目『神曲 地獄篇』からお読みください。

 

神曲 地獄篇 (河出文庫 タ 2-1)

神曲 地獄篇 (河出文庫 タ 2-1)

 

 

地獄篇は、突如として地獄めぐりを余儀なくされたダンテさんが、(心が)イケメンの師匠ウェルギリウスと出会い、煉獄にたどり着くまでをえがいています。

 

あらすじだけだと何がおもしろいの……?と思うかもしれませんが、イタリア最高峰の文学にも関わらず、ダンテさん、地獄きちゃって終始ビビりまくりなんです。

 

そんなところに自分の憧れの詩人が目の前に出てきてきちゃうもんだから、超甘えんぼ全開なわけです。

 

見開きごとに「先輩!先輩!(原文は先達)」って、何回呼べば気がすむんじゃい……!

とんだ青春冒険譚ですよ。

 

もちろん、ダンテさん本来の目的もしっかり果たすべく、キリスト教に関するおもしろ豆知識の注釈もたっぷり。

この注釈のおかげで、この作品を基にあらゆる絵画や文学が作られているのだなと実感できるのが大きな魅力のひとつです。

 

地獄篇がおもしろいなら煉獄篇もオススメ!

地獄篇をおもしろいと感じたなら、煉獄(れんごく)篇もかなり楽しめるはず。

 

神曲 煉獄篇 (河出文庫 タ 2-2)

神曲 煉獄篇 (河出文庫 タ 2-2)

 

 

地獄を無事に切り抜け、引き続きウェルギリウス先輩に導かれて煉獄めぐりをするダンテさんの冒険譚が『神曲 煉獄篇』。

 

ちなみにみなさんは、地獄と煉獄の違いってご存知でしょうか?

 

・地獄

 ……生前の罪を、罪の重さに応じた刑罰で永遠に罰せられるところ

・煉獄

 ……生前の罪を、罪の重さに応じた刑罰で償えば、天国へと登れるところ

 

「煉獄」なんて字面的にめちゃくちゃイカついですが、その刑罰に耐えたら天国に行けちゃうという、じつは地獄よりイージーモードなところなのです。

 

この煉獄という概念は、じつはキリスト教の中でもカトリック独特のもの。

そのあたりの解説も平川さんが注釈でしっかり解説してくれているので、気になった方はぜひ本編をご覧いただければと思います。

 

本読むのたるいから煉獄の概念について教えて!という方は下記からどうぞ

煉獄のネタバレを表示する

「煉獄」はカトリック独特の概念という点についてですが、これはプロテスタントとの違いにも深く関連しています。

 

じつは「煉獄」って旧訳聖書に載ってないんですよね。

あくまでカトリックの「聖伝」として受け継がれているのみの概念なのです。

 

プロテスタントは、旧訳聖書に忠実な教派なので、基本的には「煉獄」の存在を認めていません。(時期や細かい教派によっては聖書に載せてたりもする。)

 

じゃあなんでカトリックには「煉獄」のあるの?というと……

これについては諸説ありますが、正直、煉獄がある方が、教会は社会に対して力を保ちやすいんですよね。

「生前になるべくカトリック教会に貢献すれば、罪を犯しても煉獄に行けるよ~最終的には天国いけるよ~」と民に教会の存在をありがたく思ってもらえるいい材料にできちゃうので。

 

もちろん、「悔い改めた人をなんとか救ってあげたい、救われるべきだ」と多くの人が思ったからこそ、聖職者や市民(もしくは神という存在)が「煉獄」を用意してくれた……という考えもできると思います。

 

 

さて、そんな煉獄ですが、地獄よりも明るくひらけてはいるものの、一歩間違うとどうにかなっちゃいそうな危ない場所であることには変わりありません。

 

そんな場所を堂々と先導するウェルギリウス先輩のイケメンぶりが本作の見どころ。

ダンテの「お師匠様すごいフィルター」がかかったウェルギリウス先輩をたっぷり堪能しましょう。

 

わたしは煉獄篇を読み始めたあたりから、会う人会う人に、いかに『神曲』がおもしろいかという話ばかりしていました。

そんな折、友人に、ウェルギリウス先輩とダンテを、スター・ウォーズのクワイガンとオビワンで脳内再生してはどうかと提案され、その発想の至高さに私は天に召されました。

 

みなさまも『神曲』をお読みになる際は、ぜひこの脳内キャスティングをお試しください。

 

煉獄篇からは詩的で難解な文章がじわじわ増えていきますが、訳者の平川氏による「森鴎外とか夏目漱石はこの表現のココが好きでね」みたいな小ネタもより楽しくなっていきます◎

 

難解な天国篇……挑戦するかはお好みで

完結作である『神曲 天国篇』ですが、これがどちゃくそ難解です。

 

神曲 天国篇 (河出文庫 タ 2-3)

神曲 天国篇 (河出文庫 タ 2-3)

 

わたし自身も未だに読み切ってないっす!注釈解説と行ったり来たりで大忙し

 

この天国篇が難しいことはダンテ自身もよ~くわかっていて、一番最初の章で「天国篇な、くっそ難しいから覚悟して読むように」とわざわざ警告してくれています。

 

なんで難しいの?というと……

キリスト教は本質的にいかなるものなのか、人間は生きるとはどのようなことなのか、といったような精神や世界の深淵を、キリスト教を通して考えるお話なのでめっちゃ難しくなるんですよね。

 

読み解くためには、キリスト教への理解はもちろん、哲学的な考え方や、歴史的な教養も引き続き必要になってくるので、3作の中で一番難解な本になっているわけです。

 

地獄篇と煉獄篇が、キリスト教を学ぶための“入門編”と“基本編”ならば、解説役のウェルギリウス先輩とも煉獄で別れたダンテが、ウェルギリウスを通じて学んだことを思い返しながら、とんでもない高みに思考をめぐらす“超・応用編”が天国篇といったところでしょうか。

 

この天国篇は読み切ったら相当な教養が付くこと間違いなし。

キリスト教への理解もかなり深まるので、美術館で西洋絵画を楽しむのがお好きな方なんかは、この作品を知ってるか否かで楽しめる深度に差がでるのではないでしょうか。

 


 

長々と語ってしまいましたが、とにかく伝えたいのは『神曲』めっちゃ読みやすくて楽しいから!ってことです。

 

できれば高校、少なくとも大学時代には読んでおくべきだったと痛感するほどのおもしろさと教養の深さです。

 

ひとつの章もめちゃ短くてスキマ時間にも楽しみやすいので、気になった方はぜひ気軽にトライしてみてください!

それでは(。・ω・)ノ チャオ~!

 

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