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シェイプ・オブ・ウォーターの感想とギレルモ・デル・トロ監督がカワイイからオススメしたい!

こんにちは、レベッカ(@revy_ca f:id:revyca:20180520165253p:plain)です!

3月公開の映画感想をまとめて記事にしていたところ、ブラックパンサーに引き続き感想がとまらなくなってしまいました……

なので、こちらも単体記事にしちゃいます👍イエーイ!!

🎬 映画『シェイプ・オブ・ウォーター』予告編 │ フォックス・サーチライト・ピクチャーズ

3月公開映画の大本命『シェイプ・オブ・ウォーター』。

いや、もうね、3月どころか人生におけるベスト作品のひとつです。

オタク文化を愛し、オタク文化に愛される男、ギレルモ・デル・トロ監督の最新作である本作。

そもそもこの監督の作品は、大きくふたつのタイプにわかれます。

少年の心を忘れない!オタクってサイコー!!!なエンタメオタク映画

おもな代表作:『パシフィック・リム

パシフィック・リム(字幕版)

日本人でオタクだったら今すぐ見よう!そうじゃなくても今すぐ見よう!

ゴシックで重厚、美しくもあやしげで魅力的なダークファンタジー映画

おもな代表作:『パンズ・ラビリンス』、『クリムゾン・ピーク

パンズ・ラビリンス (字幕版)

美しき名作。見終わったあとは結構ひきずるので、鑑賞は元気なとき推奨。

クリムゾン・ピーク (字幕版)

個人的なオススメはジェシカ・チャステイン演じるルシールお姉ちゃん(写真左)。もともとジェシカには主人公のオファーがきたそうですが、脚本を読んでお姉ちゃん役を希望したんだとか。その選択は大正解。

前者の作品だと、主人公たちが「KAIJU」という謎の巨大生命体と戦うアクション映画『パシフィック・リム』は日本のオタク界隈でも大きな話題となりました。

日本の特撮や怪獣映画が好きなデル・トロ監督の本領が発揮された一作です。

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立川の映画館「シネマシティ」はパシフィック・リムの1作目で極上爆音上映を行い、その音響クオリティの高さと作品との相性の良さが話題に!
わたしも大好きな映画館で、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の極上爆音上映は8回ほど通いつめてるよ!

『シェイプ・オブ・ウォーター』は、後者の「ダークファンタジー」よりの作品。

社会から無視され、疎まれたものたちが、自分たちの小さな幸せを守るために行動するさまに胸がいっぱいになる、切なくも愛おしいファンタジーロマンス映画です。

本作のタイトル『シェイプ・オブ・ウォーター(水の姿かたち)』には、あらゆる「愛のかたち」を求める監督の想いがつまっているのです。

アカデミー賞作品賞を受賞したことでも話題になったこの作品は、いわゆる王道のファンタジー映画ではありません。

社会におけるあらゆるマイノリティが世界にどういう扱いをされているのか、現実的にも、寓話的にも、切なくなるほどうまくえがいていています。

アカデミー賞作品賞に輝いたときのデル・トロ監督。キュート過ぎィ!
数年前の保守的なアカデミー賞では、こういった作品が作品賞に選ばれることはまずありませんでした。昨年の『ムーンライト』受賞に引き続き、アカデミー賞の多様化を感じるワンシーン!

さて、舞台は冷戦下の1960年代。

アメリカの極秘研究機関で清掃員として働き、仲良しの隣人や同僚と穏やかな毎日を過ごす、口がきけない主人公イライザ。

演じるのは、イギリスの女優サリー・ホーキンス。

イライザの魅力的な演技が評価され、主演女優賞にノミネートされました。

この写真のサリー、めっちゃステキ……。最近では『パディントン2』や『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』などに出演、どっちもかわいいサリーが見れるよ!

本作をつくるにあたり、監督は「おとぎ話ではない、リアルな愛をえがきたかった」と話しています。

それは主人公のイライザに対しても同様で、ひとりの女性として、リアルな欲望を素直に受け入れながら日々を営む人間として、本作に登場します。

このあたりについてはぜひ、こちらの監督のインタビューをごらんください↓↓

オタクゆえに、オタグッズの蒐集家としても有名なデル・トロ監督。他のインタビューで、「この作品をつくって満たされたからか、ものを集めなくなったんだ」と晴れやかな顔でいった監督が印象的でした。

そんなイライザと心を通わせるのが、ダグ・ジョーンズ演じる“不思議ないきもの”。

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デル・トロ監督作の常連キャストであるダグ・ジョーンズ。最近ではNetflix製作の『スター・トレック: ディスカバリー』でのサルー役を熱演。このスター・トレック最新作、めっちゃおもしろいのでみんなに見て欲しい……!

ある日、研究機関に運び込まれた不思議ないきもの。

アマゾンの奥地で崇められていた彼とイライザのささやかな交流が、あらゆる人々の心に様々な波紋を巻き起こします。

あまりの名作っぷりに、自分にしてはめずらしく、ネタバレ満載の感想も書いたので気になる方はどうぞ。

ネタバレ感想を表示する

シェイプ・オブ・ウォーターのラストシーン、イライザと不思議ないきものがゆっくりと沈んでいくこのシーンに心打たれた方は多いと思います。

このとき、彼がイライザにキスをしたらイライザの首元の傷がサッと開いてエラになりますよね。

2回目の鑑賞時にじっくり観察していて確信したのですが、ディズニーアニメ版の『美女と野獣』の野獣が王子様に戻るシーンのオマージュかなと。いや絶対そう。

イライザの首の角度とか、光の反射の感じとか、そっっっくりです。

美女と野獣では、王子様である野獣が「野獣→人間」に変化しますが、シェイプ・オブ・ウォーターでは人間であるイライザが「人間→不思議ないきもの」に変化するのが大きな差ですね。

「不思議ないきもの」ではなく、「イライザ」が変化することから考えても、デル・トロ監督の「愛のかたち」へのこだわりがより強くみえるシーンだと思います。

様々な色やかたちで漂う水の姿(シェイプ・オブ・ウォーター)のように、愛のかたちも様々。

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劇中でイライザも言っていますが、喋れない彼女は、人間の世界では「欠陥のある存在」なんですよね。

それを彼女にわざわざ自覚させるような扱いをしてくる、最たる存在が、あの恐ろしいストリックランド。

「おのれの歪んだ欲望をぶつけることで、不完全さを愛でる」ってヤバいです、デル・トロ監督……やつの狂い方をみせる最高の手法過ぎます。

やつこそ「モンスター」ですよ。

対して、不思議な生き物の彼は、人間の価値観の中で動かない。

イライザをただただ完全な存在として、ありのままに認識しています。

彼が自分以外のものを判断するベースは「自分とどう関わるのか」の1点のみ。

それってイライザだけじゃなくて、性別や国籍、人種、経歴だけで、自分の価値のなにもかもを判断されてきた人々には、とてつもなく「かけがえないもの」なんですよね……!

ゼルダも、ホフステトラー博士も、ジャイルズも、まさにあの時代の強者の都合によって振り回された人たちであって、そんな中で、かけがえのない関係を築くふたりを、放っておけないですよ、そりゃ。

だからこそ、仄暗く青い水の中で漂うふたりは、どこかあたたかくみえるんですよね。

あのラストシーンが持つ力は本当にすごいです。

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この映画ね、ただのファンタジー映画だったな~で見終わる人もいると思います。

大事なのは、この映画が「かけがえのないもの」になる人が、絶対にいるということ。

わたしも見事に心掴まれたひとりで、職場で布教しまくった結果、4人の女性陣をともなって2回目を見にいくことになりました。

いや~~4人は過去最高記録でしたが、みんなとても満足してくれたようで、それが何よりも嬉しかったですね。

少しでも気になったらぜひ、ご覧いただきたい名作です。